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これからの住宅のあり方

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使い捨てられてきた住宅

戦後の貧しい時代からバブル期を経て、日本は非常に豊かな国になりました。あらゆる分野において使い捨ての消耗品が開発され、今では日用品や生活備品だけに留まらず、住宅さえも消費する時代です。日本の家屋の寿命を他国と比較すると、異常なまでに短い値が結果として得られます。

たとえばアメリカでの住宅の平均寿命は44年、イギリスでの住宅の平均寿命が75年であるのに対し、日本においては実に26年という短期間のうちに家が建て替えられてしまっているという調査結果が得られています。日本人は基本的に土地を離れて移住することを嫌う傾向があり、逆にアメリカ人などは一生のうちに何度も引越しを経験するという調査結果まであるのにも関わらず、日本の住宅の平均寿命がこれほどまで短いというのには、少々首を傾げています。こうした主な原因としては、やはり日本人の「住宅」に対する認識に起因するものなのではないでしょうか。住宅を資産として運用する習慣はなく、それと同時に家屋のメンテナンスにも無頓着な側面があります。そういった面が、家屋の寿命を短期化させている一因であると言えるでしょう。また、住宅ローンの金融システムが未発達であること、中古の住宅市場が未成熟であることなども同時に挙げることができます。

現在の日本は、まさに不動産、金融業界の発展途上にあると言えるでしょう。今後、こういった業界がどんどん洗練されていくにつれ、我々国民も住まいや住宅ローンなどに対し、新たな価値観を持たなければならない時代が訪れるに違いありません。

住宅に関する世論

「一戸建ては男の夢」そう語られてきた日本ですが、現在住宅に関する世論は新たな局面を迎えています。生活様式が多様化し、その選択肢が増えることによって、住宅に対する価値観もまた多様化してきました。戸建てを持つことを目標にする人や、かと思えば賃貸や借家などの方が気楽で良いという人もいます。ですがやはり未成年者やはたまた独身者ならばいざしらず、成人して結婚をし、そしてやがて家庭を持つようにもなれば、戸建てのマイホームで幸せな家庭を築きたいというのが多くの人の偽らざる本音ではないでしょうか。

しかしそこで問題なのが、それをしたくても容易に行えない状況です。住宅の長期ローンを組むのには精神的に大きな負担感が伴いますし、経済的な負担も決して小さくはありません。要は「その負担感をガマンしてマイホームを手に入れる」か、それとも「精神的、経済的負担を負わない代わりにマイホームは諦めるか」という、いわば二者一択的な選択しか与えられないような状況そのものが問題であると言えます。これらを格差ととるか、はたまた価値観の多様化ととるか、または住宅ローンシステムの不備によるものととるかは非常に難しいところですが、いずれにせよ平均的な収入のサラリーマンであるにも関わらずマイホーム、別荘、果てはヨットまでをも所有しているような外国の人と日本の人とでは、その差に大きな隔たりがあるように見えます。これもひとえに、「家や財産を資産として運用し、成長させる」という概念があるかないかの違いと言えるでしょう。

住宅価値の基準について

これまでに「住宅価値の基準」という言葉を多く用いてきましたが、具体的な「住宅価値の基準」とは一体どういったところにあるのでしょうか。それについて触れていってみましょう。

モーゲージにおける住宅価値の分析には、客観的な判断が必要とされます。アメリカなどでは、単純に有名なデザイナーが設計を手掛けたからと言ってその家屋の価値が極端に高くなったりすることはありません。どんな場合においても一つの家屋として客観的な評価を受けるのが普通です。これというのもやはり、不動産に先入観やイメージを介入させず、実質本位な取り組み方をしてきたところにその理由があると言えます。その家屋が持つ実際の機能性や生活性、商品としての魅力、また、普遍的な人気を得られるデザイン性などが重要視され、話題性や個性などはほとんど求められません。仮に日本において有名なデザイナーが設計を手掛けた場合、それだけである程度の住宅価値が認められるのではないでしょうか。しかし、もしデザイナーの人気や知名度が低下すれば、住宅の価値も同様に下がり続けるのが普通です。本来であれば「人が住む場所」にこのような図式が成り立つのは不自然なのです。世界大恐慌を経て洗練したシステムを確立させたアメリカは、こういった間違った住宅価値基準を逸早く脱した文化にあると言えるでしょう。

「本当に良い家」とは何なのか。それは、一時的な話題性やインパクトに頼るものではなく、時を経ても社会に普遍的に認められ求められる家なのです。

世界の住宅ローン

住宅ローンの在り方は、世界各国によって実態が違います。これまで述べてきたように、住宅観念の違いによって住宅への価値基準が異なってくるとともに、その国の歴史や文化などによっても、やはり住宅ローンのあり方というのは違ってくるようです。

しかしその中でも、住宅ローンのシステムとしてほとんど共通して見られるのが、直接金融と間接金融の提携というものです。直接金融というのはモーゲージバンクに挙げられるような、資本市場にて調達した資金を融資として運用し、それを公的機関が支援、保証などのサポートを行うといった機関を指し、間接金融はいわゆる銀行などのように、貯蓄を基本とした資産を運用して融資を行うといった機関を指します。モーゲージローンを筆頭としてこのような形態で住宅購入資金を融資する機関はどこの国でも大体見られ、その中でもとりわけアメリカ市場が大きなシェアを占めています。この合理的なシステム形態とその維持が不動産業界を大きく支え、延いては国の経済をも支えていると言えるでしょう。

イギリスでは住宅金融組合によって間接金融での住宅金融システムが構築されていったものの、1980年代後半からは証券化市場を大きくし、ドイツでは建築貯蓄金庫と抵当銀行がそれぞれ住宅金融システムを支え、やはり合理的な融資がなされています。民間の金融機関が資金調達を行い、それを公的機関がサポートする形は、現段階ではもっとも理想的な住宅金融システムの形であると言えるでしょう。

モーゲージローンと住宅の財産化について

「住宅は財産である」これは至極当然の考え方です。土地、家屋を含めてそれらは財産として非常に貴重なものです。

しかし、ここで言う「財産」はもっと厳密な意味を指します。つまり、住宅の「家」としての価値です。これまで、住宅に関連した諸々の問題が国内でも話題になりました。ずさんな工事や耐震強度の偽装などがそうです。こうしたことにより、住宅の機能、性能、安全性に対する人々の意識は改められたことと思います。安全性を欠いた建造物は価値が認められませんし、今では多くの人がそういった面に配慮するようになりました。これがつまり「家としての価値」に繋がる根本的な問題であると言えます。今はもう、「住宅は、所有しているだけで価値がある」といった時代は終りを告げようとしているわけです。そして、住宅金融業界もその体質とシステム形態を変えつつあります。モーゲージローンを扱う機関も登場し、これをきっかけに住宅ローンは従来のものから次世代のものへと移り変わっていくでしょう。

そこで重要になってくるのが、住宅の「家としての価値」、つまり、「再販価値があるかどうか?」ということです。モーゲージローンが住宅の抵当権を担保とするからには、やはり住宅の再販価値は非常に重要な要素になってきます。そしてその価値の向上と維持が、住む人間の手入れ、メンテナンスなどにかかってくるわけです。これまでの日本では住宅のメンテナンスなどに目を向けられる機会が決して多いとは言えませんでしたが、これからはそういった面にも目を向けて、住宅の財産価値を守る意識を持つ必要があると言えます。