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アメリカの住宅金融

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日本と欧米の住宅観念の違い

さて、モーゲージが盛んに扱われるアメリカと、そうではない日本の違いとして、まず住宅に対する姿勢、思想が挙げられます。住宅に対する観念がそもそも違うのです。日本においては、住宅の購入は大きな経済的負担を負う代わりに得られるものであるという面が非常に強く、住宅ローンに対しても「ローン地獄」という言葉が表すように、否定的なイメージが強くあります。実際、住宅ローンは実生活において決して小さくはない経済負担となることも少なくなく、また、それとともに負わなければならないリスクも決して少なくありません。

しかし、住宅購入に際してはリスクを負うことが普通とされる日本において、この一連の流れに疑問を持つ人はあまり多くないようです。一方、アメリカでは住宅は一つの資産であるという見方をし、住宅購入は投資であるという風潮にあります。そして実際に住宅を購入してしっかりとメンテナンスを行いながら暮らすことで、数年後にはその家が購入時よりも高く売れるといったケースも珍しくありません。これは、買って住み始めた直後から住宅の資産価値がどんどん下がり続ける日本では考えられないことです。

住宅の本質的な価値を考えた時、その価値基準を「新しいか新しくないか」という部分に置くのは、これは本当に正しい判断なのでしょうか?住宅の本当の価値基準は、「人が住みたいと思うかそうでないか」ではないのでしょうか?そういった面において、アメリカの住宅に関した文化レベルは、日本の数歩先を行っていると言えるかも知れません。

アメリカの住宅金融制度のあり方

アメリカではモーゲージローンが盛んなため、それを扱う金融会社も多く存在します。住宅金融を取り扱う金融機関としては商業銀行や貯蓄銀行、貯蓄貸付組合といった機関と、貸し出しを専門的に扱うモーゲージジカンパニーがあります。特にモーゲージカンパニーが占める市場の割合は非常に高く、90年代後半において既に市場の半分以上のシェアを誇っています。これらの市場を第一次市場とし、多くのモーゲージ担保証券が市場へと流通します。融資を行うそれぞれの金融機関は債権や担保証券などを市場に流通させ、投資家達から資金を得ます。この資本市場を第二次市場とし、アメリカの住宅金融流通システムが構築されています。これらのシステムは世界的に見ても非常に洗練されており、もっとも発達した流通形態であると言えるでしょう。

こうした高度なシステムを構築するに至ったのも、やはりアメリカの歴史や人々の意識によるものではないでしょうか。前項にも述べたように、アメリカにおいての住宅のあり方というのは非常に先進的なものであると言えます。これはアメリカだけに限ることではなく、他先進国においても同様のことが言える国がいくつもありますが、その歴史や人口などといった諸々の理由から、アメリカにおける住宅金融システムがもっとも発達しているのではないでしょうか。住宅は我々にとって生活に密接した非常に身近なものです。住宅業界先進国であるアメリカから学ぶことは、たくさんあると言えます。

アメリカの住宅金融システム

「アメリカの住宅金融システムは進んでいる」とは簡単に言えども、その理由や原因について言及するには、膨大な時間と労力が必要となってしまいます。そこで、アメリカの住宅金融システムにおいて優れた点をいくつか挙げ、それらについて触れていくことにしましょう。前項ではアメリカにおける住宅金融の流通形態について触れましたが、やはり住宅たるもの、取引される「物」も「額」も大きいだけに、それぞれの取引においてサービス提供者、サービス利用者、投資家などへ多少のリスクが強いられることとなってしまいます。しかしここで注目したいのが、「アメリカの住宅融資に関しては、公的機関がそれぞれ支援し、保証している」ということです。

たとえばモーゲージローンの直接的な取引が行われる第一市場においては、連邦住宅庁や連邦退役軍人省などによって支援され、保険、保証などといった制度が設けられています。債権や証券が流通する第二市場においては「モーゲージローンの仕組み」でも触れたファニー・メイ(連邦抵当金庫)、フレディ・マック(連邦住宅貸付抵当公社)、ジニー・メイ(政府抵当金庫)などによって支援され、モーゲージ担保証券の発行、債権への保証などが行われています。こうして住宅金融に伴うリスクを分散し、またそれぞれが保証され支援されることによって流通が促され、システム全体が活性化しているというわけです。非常に合理的かつ理想的なシステム形態であると言えます。

世界大恐慌から学ぶ住宅産業のあり方

アメリカの歴史において語るに外せないのが、1929年よりアメリカを襲った世界大恐慌です。株価の大暴落によって引き起こされたこの世界大恐慌ですが、事の成行や背景などについては割愛させていただくとして、これらが不動産業界に与えた影響について触れていってみましょう。

世界大恐慌によって引き起こされた経済的ダメージは、当然不動産業界にも深刻な影響を与えました。失業者が増えるにつれローンの停滞や支払不能者が続出し、住宅金融のあり方そのものを根底から変えるきっかけとなったのです。銀行はほとんど力を失い、それが悪循環となってアメリカ経済を長く低迷させました。住宅の新設需要は激減し、住宅取引も停滞しました。不動産が経済全体にもたらす影響は大きく、悪化した経済状態を回復させるためには不動産業界から手入れするしかないと考えられました。それらがきっかけとなり住宅所有者金融公社が設立され、1934年には国家住宅法が制定されて連邦住宅庁が設立されたのです。実質的には、この時からモーゲージローンの歴史が始まったと言っても良いでしょう。

世界大恐慌という大波に国をあげて取り組んだ結果、政府系機関が直接介在する現在の住宅金融システムが構築されたのです。さらに、不況の最中にシステムの構造、性質の全てを根本から変えなくてはならない状況から、大幅な効率化、合理化、コストダウン、リスク回避が望まれ、その結果、非常に洗練されたシステム形態が構築されたのです。怪我の功名とでも言うのでしょうか、それからのアメリカにおける住宅金融は、主要先進国の中でももっとも発達したものとなりました。